符号化とは
符号化とは
- 符号化とは,デジタル伝送・記憶システムなどにおいて使われる技術です。
- データをデジタル化して伝送したり,記録する場合,雑音や盗聴などを想定した 通信路を仮定し, それらからデータを保護する技術が符号化です。
- 下記のように、目的にしたがって,主に3種類の符号化があります。 効率性を目的とする情報源符号化,安全性を目的とする暗号化, 信頼性を目的とする通信路符号化。

符号化の例
符号化の例(QRコード)

- 符号化は,効率性 と 信頼性 を目的に利用しますが,両方の性能を同時に向上することは難しいことが分かっています。
- QRコードも符号化の例です。そこで,効率性と信頼性のトレードオフの関係を上記の2種類のQRコードで説明します。
- 2種類のQRコードの違いについて。 記録データの量は,上方のQRコードの方が多く性能がよいが, 汚損に対する耐性は,下方のQRコードの方が広い面積に対する耐性があり性能がよい。
- どちらのQRコードの方がよいという訳ではなく,何に利用するかにより,使い分ける。
分散符号化
分散符号化(「信頼性」と「効率性」について)

- キーワードは「符号化」です.
- 上記に示した符号化の一例を説明します. ここでは、例えば、デジタルデータでシンボル列のように扱うデータAとデータBを保存する場合を考えましょう.
- 目的は、信頼性と効率性を考慮したデータ保存です。
- はじめに, 上記スライドのシンプルな例(符号化1)では、データをコピーして分散保存することで、どれか1台のハードディスク(HD)が故障しても、元のデータAとBを復元できます。つまり、1台までのHDの故障に対する信頼性を保証しています。しかし、4台のHDが必要になります.
- 次に,スライドを変えて下記スライドの効率性UPの例(符号化2)では、A+B という算術計算をし、そのデータを保存することで、どれか1台のHDが故障しても、元のデータAとBを復元できます。この際、3台のHDで実現することができています.符号化1と比較して、同じ信頼性を保証しながら,1台分のHDを節約できています(効率性UP).
- 上記の「A+B」という足し算の算術演算が「符号化」という手続きになります。
- さらに、信頼性UP(符号化3)では,4台のHDを利用できるならば、どれか2台のHDが故障しても,元のデータAとBを復元できます.符号化1と比較して,同じ台数のHDを使用しますが,故障台数が1台分増え,故障に対する信頼性が向上しています(信頼性UP).
- 以上が「符号化」のシンプルな例のひとつになります.
- 最後に、符号化1, 2, 3のいずれもそれぞれの長所をもつ符号化です.何を目的に利用や運用するかで、それぞれの長所を利用することができます.

研究テーマ内容
過去の研究テーマ内容の紹介
- 秘匿情報検索
- 栗原正純, ''巡回リード・ソロモン符号による分散ストレージシステムを用いた複数データの秘匿情報検索," 電子情報通信学会論文誌 A, Vol.J103-A, No.12, pp.321-337, 2020.
- 秘匿情報配信
- 栗原正純, ''複数メッセージを送信する秘匿情報配信について," 電子情報通信学会論文誌 A Vol.J105-A No.1 pp.6-17, 2022.
- リクエスト種類数を考慮したCoded Caching方式
- 栗原正純, '' リクエスト数の分布に基づいて配信信号を構成する符号化キャッシング方式について," 電子情報通信学会論文誌 A, Vol.J103-A, No.2, pp.43-54, 2020.
- 安全で修復可能な分散ストレージシステム
- Masazumi KURIHARA Hidenori KUWAKADO, '' Secure Regenerating Codes Based on Rashmi-Shah-Kumar MBR Codes ," IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, Vol.E96-A, No.2, pp.635-648, 2013.
- 栗原正純, 桑門秀典 '' 修復可能な分散ストレージシステムにおける最小ストレージ再生成符号に基づく秘密分散法 ," 電子情報通信学会論文誌 A, Vol.J96-A, No.4, pp.166-174, 2013.
- 桑門秀典、栗原正純,'' 分散ストレージシステムのための新しい符号化法――再生成符号とPyramid符号―― ," 電子情報通信学会誌, Vol.98 No.2pp.130-137, 発行日:2015/02/01, Online ISSN:2188-2355, Print ISSN:0913-5693.
- 安全で修復可能な秘密関数分散システム
- 田中洋輔, 栗原正純, ''盗聴と結託攻撃を考慮した関数分散に対する安全な協調再生成符号," 平成29年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会(第23回), 平成30年3月3日.